Databricks ML試験(Associate / Professional)は、 MLflow・AutoML・Feature Store・分散学習・Model Servingなど 機械学習のライフサイクル全体をカバーする試験です。 この記事では出題ドメインごとの配点表と代表的な出題パターンを整理し、 ドメイン別の練習問題3問を詳細な解説付きで掲載しています。
MLAは48問・90分の試験で、Databricks上でのML実装スキルを問います。現行の試験ガイド(2025年3月1日時点の版)では、Unity Catalogのモデルレジストリへの登録と、エイリアスを使ったモデルの昇格が出題範囲に含まれています。
| ドメイン | 配点比率 | 主なトピック |
|---|---|---|
| Databricks Machine Learning | 38% | AutoML・Feature Store(Unity Catalog)・MLflow(Runの記録・Client API)・Unity Catalogのモデルレジストリとエイリアス・MLランタイム |
| ML Workflows(試験ガイドでの名称はData Processing) | 19% | 要約統計量・外れ値の除去・可視化・欠損値の補完・ワンホットエンコーディング・対数変換 |
| Model Development | 31% | アルゴリズムの選択・不均衡データ対策・EstimatorとTransformer・HyperoptとSparkTrials・交差検証・分類/回帰の評価指標・バイアスとバリアンス |
| Model Deployment | 12% | バッチ・リアルタイム・ストリーミング推論の違い・Model Servingへのデプロイ・pandasによるバッチ推論・エンドポイント間のトラフィック分割 |
MLPは59問・120分の上位試験で、エンタープライズ規模のMLシステムを設計・運用する力が問われます。現行の試験ガイドは2025年9月30日時点の版で、サンプル問題はいずれも状況と要件を読んで最適な方法を選ぶシナリオ形式です。
| ドメイン | 配点比率 | 主なトピック |
|---|---|---|
| Model Development | 44% | SparkMLのパイプライン・pandas Function API・Optuna/Rayによる分散チューニング・データ並列/モデル並列・MLflowのネストされたRun・Feature Storeのポイントインタイム結合とFeature Serving |
| ML Ops | 44% | モデルのライフサイクル管理・単体/結合テスト・Declarative Automation Bundlesによる環境構成・自動再学習・Lakehouse Monitoring(現在の名称はデータプロファイリング)によるドリフト検出 |
| Model Deployment | 12% | ブルーグリーン/カナリアのデプロイ戦略・Model Servingでのロールアウト・カスタムPyFuncモデルのサービング(REST API・MLflow Deployments SDK) |
mlflow.autolog()は対応ライブラリ(scikit-learn・XGBoost・LightGBM・PyTorch等)の パラメータ・メトリクス・モデルを自動記録します。試験では 「autolog()で記録されないもの」を問うパターンが頻出です。 カスタムビジネスメトリクス(例:利益率やコスト加重スコア)は mlflow.log_metric()で手動記録する必要がある点が狙われます。
Databricks AutoMLは各試行のコードを完全なノートブックとして生成する 「ガラスボックス」方式が最大の特徴です。試験では 「AutoMLが自動で行うこと」と「行わないこと」の境界が問われます。 アルゴリズム選定・前処理・ハイパーパラメータ探索は自動、 外部データの取得・カスタム損失関数の定義・本番デプロイは手動です。
Feature Engineering in Unity Catalogのcreate_training_set()では lookup_keyでトレーニングデータと特徴量テーブルのジョインキーを指定します。 MLPの試験ガイドには「特徴量のルックアップでポイントインタイムの正しさを確保し、データリークを防ぐ」という項目があり、 これを実現するのがPoint-in-Time Lookup(timestamp_lookup_key)です。各行の時点で実際に使えた特徴量値を取得するユースケースが問われます。
HyperoptのSparkTrialsを使うとハイパーパラメータ探索をSparkワーカーで並列化できます。 MLAの試験ガイドにはHyperoptのfminによる調整と、単一ノードのモデルを並列にチューニングする項目があり、ここでSparkTrialsが使われます。 MLPの試験ガイドでは、Optuna(MLflowとの連携)やRayによる分散チューニング、RayとSparkの比較、 pandas Function APIによるグループ別の学習、データ並列とモデル並列の選び方が問われます。
Databricks Model Servingでサービングできるのは、カスタムモデル(MLflow形式のPythonモデル)と基盤モデルです。 基盤モデルには、Databricksがホストするもの(Foundation Model APIs)と、OpenAIなど外部でホストされるもの(External Models)があります。 MLAの試験ガイドにはバッチ・リアルタイム・ストリーミング推論の違いを問う項目があり、低レイテンシのリアルタイム推論にはサービングエンドポイント、 大規模バッチ処理にはSpark UDF(mlflow.pyfunc.spark_udf)やFeature Storeモデルのscore_batch()によるバッチ推論という使い分けが問われます。なお、ai_query()によるバッチ推論は、MLAではなくGenerative AI Engineer Associateの試験ガイドにある項目です。
MLflow・Feature Store・分散学習から各1問を掲載しています。解答後に解説を確認し、関連知識も合わせて復習しましょう。
MLflow
問題 1
MLflow Model Registry in Unity Catalogで、本番モデルを新バージョンに切り替える推奨手順はどれですか?
正解: B
Unity Catalog統合のModel Registryでは、従来のStagingやProductionといったステージではなく、エイリアス(Aliases)を使ってモデルバージョンを管理します。推奨フローは、新バージョンにchallengerエイリアスを設定 → A/Bテストまたはシャドーテストで品質を検証 → 問題なければchampionエイリアスを新バージョンに付け替える、という手順です。エイリアスの付け替えは即座に反映され、models:/model_name@championのようにエイリアス指定でモデルを参照しているServingエンドポイントは自動的に新バージョンを使用します。Aの方法はWorkspace Model Registryの旧方式であり、Unity Catalog統合版では推奨されません。
Feature Store
問題 2
Feature Engineering in Unity Catalogでtimestamp_lookup_keyを指定してcreate_training_set()を呼び出す理由はどれですか?
正解: B
timestamp_lookup_keyはPoint-in-Time Lookupを実現するパラメータです。時系列データの機械学習では、「ある時点の予測に、その時点より未来の特徴量を使ってはいけない」というデータリーケージの制約があります。timestamp_lookup_keyにイベント発生時刻のカラムを指定すると、各トレーニング行のタイムスタンプ時点で利用可能だった最新の特徴量値のみがジョインされ、未来の情報の混入を防止します。例えばユーザーの購買予測で、予測対象日より前に計算されたユーザー特徴量のみを使用するケースです。MLPの試験ガイドにも、特徴量のルックアップでポイントインタイムの正しさを確保する項目があります。
分散学習
問題 3
HyperoptでSparkTrialsを使用した場合と、Trials(シングルノード)を使用した場合の最も重要な違いはどれですか?
正解: B
SparkTrialsはHyperoptの並列化バックエンドで、各ハイパーパラメータの試行(trial)をSparkワーカーノードに分散して並列実行します。例えばmax_evals=100のTPE探索をSparkTrials(parallelism=10)で実行すると、最大10並列で試行が実行され、シングルノードの約1/10の時間で完了します。一方Trialsはドライバノードで逐次実行するため、100試行すべてが直列に実行されます。探索アルゴリズム(TPE・ランダム等)はどちらでも指定可能なためAは誤り、GPU/CPU制約もなくCも誤りです。Databricks上ではmlflow.autolog()と組み合わせると、SparkTrials/Trials両方の結果がMLflowに自動記録されます。
MLflowはMLAではDatabricks Machine Learningドメイン(38%)の中心で、MLPでもModel Development(ネストされたRunなどの高度な使い方)とML Ops(モデルのライフサイクル管理)の両方に登場する最重要トピックです。 Free Edition(Community Editionの後継)でmlflow.start_run()・log_param()・log_metric()・log_model()を実行し、 MLflow UIでの結果確認、autolog()の動作、Model Registryへの登録とエイリアス設定まで一通り体験しましょう。
分類タスクのAccuracy・Precision・Recall・F1・AUC-ROCと、 回帰タスクのRMSE・MAE・R²の使い分けは確実に覚えましょう。 特に不均衡データでAccuracyが不適切な理由(多数クラスを全て予測すれば高Accuracy)と、 Precision-Recallのトレードオフ(閾値の調整でどちらかが向上すると他方が低下)は頻出です。
データ準備 → 特徴量エンジニアリング → モデル学習 → 評価 → デプロイ → モニタリング の各フェーズでDatabricksのどの機能を使うかをマッピングできるようにしましょう。 Feature Store → AutoML/MLflow → Model Registry → Model Serving → Lakehouse Monitoring という流れを理解することで、MLPのシナリオ問題で適切な設計判断ができます。 (Lakehouse Monitoringは、現在のDatabricksのドキュメントでは「データプロファイリング」という名前ですが、MLPの試験ガイドは旧称で書かれています。)
MLAとMLPの出題ドメインは重複していますか?
MLA(ML Associate)とMLP(ML Professional)は、Model DevelopmentとModel Deploymentという同じ名前のドメインを持ちますが、問われる深さが異なります。MLAはMLflowの基本操作・AutoMLの活用・Feature Storeの概念・データの前処理・基本的な評価指標など「Databricksで基本的な機械学習タスクをこなせるか」を問う試験です。MLPはSparkMLによるスケーラブルなパイプライン、OptunaやRayによる分散チューニング、テスト・自動再学習・ドリフト検出といったMLOps、ブルーグリーンやカナリアのデプロイ戦略など「エンタープライズ規模でMLシステムを設計・運用できるか」を問います。MLAの知識を前提としつつ、試験ガイドのサンプル問題も実務的なシナリオ形式です。
MLflow Model Registry in Unity CatalogとWorkspace Model Registryの違いは何ですか?
Workspace Model Registryはワークスペース単位のモデル管理で、Staging→Production→Archivedのステージ遷移でライフサイクルを管理します。Unity Catalog統合のModel Registryはアカウント全体でモデルを共有でき、ステージの代わりにエイリアス(champion/challengerなど任意の名前)でバージョンを参照します。2026年現在、DatabricksはUnity Catalog統合のModel Registryを推奨しており、MLAの試験ガイドにも、ワークスペースのレジストリと比べたUnity Catalogのレジストリの利点と、エイリアスによるchallengerからchampionへの昇格が含まれています。
ML試験の学習でFree Editionはどこまで使えますか?
Free Edition(終了したCommunity Editionの後継)では、サーバーレスコンピュート上でMLflow Tracking(実験記録・autolog)やscikit-learn/XGBoostのモデル学習を実際に試せます。ただしModel Servingはアクティブなエンドポイントの数に上限があり、GPUのサービングエンドポイントは使えません。コンピュートの構成を自分で決めることもできないため、マルチノードの分散学習やクラスタ構成に関わるトピックは公式ドキュメントと問題演習で補完する必要があります。
出題範囲を体系的に扱う教科書があります。全 16 章、登録なしで全部読めます。
第 0 部・無料
クラウド自体がはじめての方へ
サーバー・ネットワーク・データベースの前提知識なしで読める 8 章。登録不要・無料。
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Databricks とレイクハウスの全体像
なぜこの製品が要るのか、何がどこに属するか
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データはどこに、どんな形で保存されるか
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NicheeLab編集部
データエンジニアリング・クラウド資格の専門家。Databricks・Snowflake等の認定資格を保有し、実務経験に基づいた問題作成・解説を行っています。NicheeLab運営。
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